山梨肺癌研究会会誌 第19巻1号 030-034(2006)
SIADHを契機に診断された肺小細胞癌の2例
渡辺一孝 石原 裕
要旨:症例1は64歳男性、倦怠感、嘔気にて入院した。血清Naは118mEq/lと低値で、尿浸透圧は血清浸透圧より高値で、尿中Naは96mEq/l、血清ADHは7.1pg/mlと高値、腎機能、副腎機能は正常で、脱水の所見を認めず、SIADHの診断基準を満たした。胸部レントゲンおよび胸部CTにて右肺門部に径3cmの腫瘤を認め、気管支鏡による生検にて小細胞癌と診断された症例2は66歳男性、意識障害、痙攣にて入院した血清Naは123mEq/lと低値でSIADHの診断基準を満たした。胸部レントゲンにて右上肺野に肺炎を認め、胸部CTにて右上縦隔〜右肺門にかけての腫瘤を認め、気管支鏡検査にて小細胞癌と診断された。肺小細胞癌にSIADHが合併する頻度は約10%と少なくなく、臨床上、患者状態を悪化させる低Na血症の治療に習熟することは重要と考えられた。
keyWord:肺小細胞癌、SIADH、低ナトリウム血症、レダマイシR
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